ゴミ箱を蹴っ飛ばして怒ったN氏

今日は懐かしい人に会ってきました。

もう15年以上も前に、某外資系IT企業の、

マーケティング部で働いていたときに同じチームにいた I さん。


それで、思い出したことがある。

そのチームは、短期間で小規模ビジネス用のポータルサイトを

当時、立ち上げようとしていた。


私はコンテンツの責任者、タイトルのN氏はITシステムの責任者。


で、問題になったのがスケジュール。

「サイトデザインをもっと早く完成させろ」というN氏。

「デザイナにはこれだけの作業日数が必要なのよ」という私。

システムが優先だ、いやコンテンツありきだ、とお互いに譲らない。


夜も更けた24:00近くに、

会議室に集まっていた数名のメンバーが、

私たちのバトルをはらはらと見守っていた。


N氏が怒ったのは、

私が、「時間がかかる」と粘っていたときではなかった。


最後の最後に、どうにもたいへんそうなので、

デザイナさんにダメもとで

ムリを言ってお願いしてみるべきか・・とふと思い、


「いつまでに短縮できればなんとかなるの?」

とN氏に尋ねたときだった。


助け船を出したつもりの私に、

「絶対にムリなんじゃなかったのかよっ!」


と怒鳴って、会議室にあるゴミ箱を、

ばっこーんと大きな音をたてて、蹴っ飛ばしたのだった。


(なっ、なんなんだ! その威嚇行為は!)


頭の中でぷちっという音を聞いた私は、

無言で資料を小脇に抱え、会議室を立ち去り、

デスクに戻って、帰り支度を始めた。

あわてて、追いかけてきた仲裁役は、

チーム内唯一の妻子持ちのMさん。

「帰らないで、ちゃんと話しあおうよ」


家庭を持つと男も丸くなるものなのかもしれない。

・・と若き日の私は思った。


「仕事に感情持ち込む人とは組めないから」

と立ち去ろうとする私。


(いま思えば、その態度が十分、感情的だ。

 ひらっひらの平の私に、

 誰と組むとか選べる裁量など持たされてないしっ)


粘り強い説得に、なんとかとどまり、

しぶしぶと会議室に戻り、

微妙に牽制しあいながらも、譲りあう形で会議は終了した。


それから、N氏の私への態度は以前よりも丁寧になり、

私も、計画性に優れた彼の手腕をリスペクトするようになった。


徹夜でポータルサイトのリリース日を迎え、

記者会見を終えて、

乾杯する頃には、隣に座って仲良く飲み明かした。


若かったから、できたことかもしれないけれど、

お互いに本気で、その仕事に取組んでいるからこそ、ぶつかったのだと、

どこかで感じていたから、リスペクトできたのかもしれない。


大人になればなるほど、

本気でぶつかりあえる相手が減っていく。

怒りなどあらわにしようものなら、

大人として恥ずかしい幼稚な行為だと思われる。


それはもちろんそうなのだけど、

怒りに限らず、

いつの間にか「本音」をストレートに話せる相手は、

限りなく少なくなっている。


大人って、さみしいなぁと思ったりする。

ライティング・コンサルタントの視点から

杉浦由佳  ライティング・コンサルタント。コピーライターとして独立して15年。書くための発想法、訴求力のある文章術などを中心に、仕事現場や日常のことなど、とりとめなく書いています。トレンド誌やビジネス誌のコラム広告のほか、企業のプロモーション支援・ブランディングに携わる一方、元ITエンジニアの杵柄で「情報セキュリティ」の連載記事なども執筆。「稼げるライターのためのライティング講座」 講師。

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