プロデューサーの言葉に、深く納得。

先週末に、ある雑誌記事広告の企画で、

クライアント企業でオリエンをしてもらった帰り道での話。


(ちなみに、広告業界で「オリエン」というのは、クライアントが広告制作者に対して、事前に製品や依頼したい内容について説明することです。)


制作会社のプロデューサーが人手不足で困っているという。

ディレクションができる人を社内に欲しいと前から言っているのだけど
なかなか良い人が見つからない。


以前、その会社にいた編集者Oさんは、
とても仕事熱心で優秀な方だったのだが、

辞められて早久しい。


「Oさんは、すごく優秀な編集者さんだったから
 辞められたのは、おしいですね。」

というと、


「確かに優秀だったけど、

 ひとりでクライアントのところに行く自信はなかった」

とおっしゃる。


「Oさんなら、ひとりでも大丈夫そうでしたけど?」


「できるんだよ、能力的には。

  でもね、僕の代わりを務めないといけない、と思うからできない。

 僕は、30年もこの世界でやってる。いろんな修羅場もくぐってきた。
 その僕と同じようにやらなきゃいけないと思ったら、そりゃできないよ。

 自分のやり方でやればできるはずなんだけど。それが、できなかったんだね」


なるほどな、と思った。

私にも経験がある。

新しいジャンルの仕事が入ったときに、
優秀なプロデューサーの方について
クライアントさんのところに出向いたとき。


インタビュー取材なんて、
もう100回も200回もこなしてきたのに、

そのプロデューサーの話しぶりをきいていたら、

あぁ、あんな風には、とても話せない、と思ってしまった。


そう思った途端に、いつものようにインタビューできなくなって、

妙にぎくしゃく。


取材が終わったときには、手に汗をかいてぐったりしていた。


文章でも似たような経験がある。

ライティングのプロから依頼を受けたとき、
その人を意識するあまり、いつもの調子で書けなくなったこと。


それも、いまだから言えることで、

そのときには、なぜいつものようにできないのか、わからなかった。

え?なにこれ?スランプ? なんて思ったりして。


自分には自分のやり方がある。


同じ目標に到達するにしても、やり方はいく通りもあって、

自分には、自分にしかできないやり方がある。

優秀だと思っている先輩にも、
その先輩にしかできないやり方がある。


だから、どんなに優秀な誰かに付いて学んだとしても、

最終的には、自分なりのやり方を確立していくしかないのだと思う。

ライティング・コンサルタントの視点から

杉浦由佳  ライティング・コンサルタント。コピーライターとして独立して15年。書くための発想法、訴求力のある文章術などを中心に、仕事現場や日常のことなど、とりとめなく書いています。トレンド誌やビジネス誌のコラム広告のほか、企業のプロモーション支援・ブランディングに携わる一方、元ITエンジニアの杵柄で「情報セキュリティ」の連載記事なども執筆。「稼げるライターのためのライティング講座」 講師。

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