わかりにくい文章の方が良いこともある

昨日、「なぜ文章は「感性」よりも「ロジック」なのか」 という話を書いたら、

「なるほど、ロジックが大切だということはわかりました。

では、具体的にどうしたら良いのか、そのロジックを少しでも教えてください」

とのリクエストをいただきました。


なので、今日は、

ターゲティング(対象者を決める)について

少し、お話ししたいと思います。

なぜなら、これが、できていない人が、非常に多いと感じるからです。



以前、こんなことがありました。 

大勢の前でプレゼンテーションできる機会をもらい、 短いお話をした時のことです。  


私はそれなりの専門用語を使い、 深く突っ込んだ話をしました。  

すると、そこに参加していた Wさんが、あとでこう言ったのです。 

「あんな難しい言葉で長々と説明されても、 何も頭に入ってこないよ。

  もっと短く、わかりやすく伝えてくれないと」


「それは、申し訳なかったです」

 と私は答えました。


しかし、改める気はありませんでした。

それは、なぜでしょうか?


Wさんは、私が訴求したい相手ではなかったからです。


私が聞いて欲しかった人たちは、普段から専門用語を聞きなれている、

その業界に近い人たち。

その人たちに、私は「同業種のことに詳しい人」であることを示しながら、

さらに自分の専門性をアピールしたかったからです。


もっと簡単な言葉を使って、Wさんにもわかるように話していたら、

その人たちは、あくびが出たでしょう。


かくして、イベントが終わった後に、

私は、その業界の人たち数名と名刺交換をし、つながりを作ることができました。

それから、しばらくして、その中の一人とお仕事をさせていただきました。



ライティングを学んでいる人に、

「良い文章を書くために必要なことは何ですか?」

と尋ねると、


・わかりやすい文章を書くこと。

・難しい言葉や言い回しを使わないこと。

・中学生でもわかるように書くこと。

・専門用語を使わないこと。


多くの方から、そんな言葉が返ってきます。

不特定多数の、より多くの人に理解してもらいたいなら、

そうなるでしょう。


しかし、それは、あなたがアピールしたい相手にマッチしていますか?


文章を書くときは、誰に向かって書いているのか、

それを1番に意識して欲しいと感じます。


その人たちが、受け入れやすい表現は何なのか。

その人たちが、喜ぶことは何なのか。驚くことは何なのか。


読んで欲しいその人たちの心に忍び込むように

語りかけられれば、それでいいのです。


それさえできれば、

対象者以外の人にとってわかりにくい文章であっても、

評価が低かったとしても、知ったことではないのです。


どうしたら、定めた対象者の心に響くことを書けるようになるのか?

それについては、また改めて書きます。

ライティング・コンサルタントの視点から

杉浦由佳  ライティング・コンサルタント。コピーライターとして独立して15年。書くための発想法、訴求力のある文章術などを中心に、仕事現場や日常のことなど、とりとめなく書いています。トレンド誌やビジネス誌のコラム広告のほか、企業のプロモーション支援・ブランディングに携わる一方、元ITエンジニアの杵柄で「情報セキュリティ」の連載記事なども執筆。「稼げるライターのためのライティング講座」 講師。

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